今は懐かし「キヨスク」での混雑時は一瞬も気を抜けない戦いだった

駅のホームにある売店のキヨスクを知っていますか?

KIOSKと書いて,キヨスクと読みます。

最近では,めっきり数が少なくなりました。
NEWDAYSという名前のコンビニに多くのキヨスクが業態を変えました。

私は大学生の時にキヨスクでバイトをしたことがあります。
その時の体験談について書きます。

駅のホームの販売店「キヨスク」でのアルバイト体験

混雑時は戦争状態

キヨスク

私が勤務したのは上野駅です。
夜の7時から12までの時間帯でした。

当時は上野駅の中だけで数十店ものキヨスクがありました。
アルバイトは5時間の中で3~5店舗を渡り歩きます。
なぜなら店舗によって最も忙しい時間が違い,一番忙しい時間帯にヘルプとして入るのを目的としているからです。

上野駅の乗降客数は日本有数であり,さらに最も人が多く乗り降りする時間帯におけるキヨスクの混雑ぶりはすさまじいものがありました。

たった30分ほどの間に優に百人以上の客が入れ替わり立ち代わり押し寄せてきます。

スーパーやコンビニのレジで7~8人くらいの客が列を作ると忙しそうなのが周りにも伝わってきますよね。

その比ではありません。

キヨスクでの最繁忙時間帯の混雑ぶりは「暴力的」でした。
イメージで言うと「鎌倉幕府100万の軍勢に猛攻撃を受けている千早城を守る楠木正成たち」でしょうか。

混雑時,お客さんは一列に並びません。
店舗の狭い横幅いっぱいに4人,5人がいっぺんに買い物をしようとします。
その理由は,レジがないからです。

当時の販売方法は完全な手売りです。
品物一つ一つのバーコードを読み取ることはしません。
販売員が品物の価格を全てあらかじめ覚えておき,品物の代金を瞬時に暗算して代金の総額を伝え,支払ってもらうという形です。
レジがないので,一気に多方面から複数人が様々な商品を無造作に提示してきます。

戦いでは,複数人に囲まれたときは,逃げ回りながらなんとか1対1で戦う態勢を取り一人ずつ倒していくのが定石です。複数の敵を同時に相手にするのはものすごく大変なことだからです。

しかし,キヨスク内では,逃げ回ることは許されません。
4人から同時にそれぞれ複数の商品を提示されても,瞬時にそれぞれの代金を計算し,お金を受け取り,お釣りを渡します。

恐ろしいことに,販売動作と同時に品物の補充も行わなければなりません。
たった30分の間に,山のように積み上げた雑誌や新聞,段ボールごと用意してあるビール・焼酎類が飛ぶように売れていきます。
押し寄せる軍勢を倒しながらも,同時に戦いに必要な物資を補給し続けなければならないのです。

おそらく,はたから見ると複数同時に計算&仕事(マルチタスク)をしているように見えるのではないかと思います。
実際は個々の客への計算をすさまじいスピードで行いつつ補充作業も行っているのですが。

私はこのアルバイトを1年半程続けました。
しかし,何度経験しても繁忙時間帯の戦(いくさ)は大変でした。
いつもアドレナリン全開で全力を出して販売をしていました。

なぜかすぐに慣れる一瞬の売り上げ計算

このアルバイトを実際に行う前に,例えば研修で混雑時の様子を見る機会があったら,おそらくみんな逃げ出してしまうでしょう。

その理由は以下の2点です。

①全ての商品価格を事前に覚えていなければならない。
②合計代金を瞬時に暗算で算出しなければならない。

研修期間などあってないようなものでした。
バイトとして雇われた時点からほぼすぐに実戦へと駆り出されます。

店舗に初めて入った日には次のように感じました。

・百数十種類ある商品の価格をすぐに覚えるなんて,できるわけない。
・そろばんを習ったことがないので,一瞬で商品の代金を暗算できるわけない。

実際にアルバイトで入った人の何割かは1日で辞めていきました。

私はなんとか持ちこたえ,くらいついていきました。

そうすると,不思議なことに2週間もかからずに,あっという間に商品の価格を覚え,暗算もこなせるようになりました。

私は決して記憶力がいいわけでもなく計算が得意な方でもありません。

ようするに,暗記と暗算能力がどうしても必要だったから,脳がそれに対応したのです。
追い詰められたときに発揮する脳の適応力には驚かされます。

私だけでなく,他のアルバイトの人も同様でした。

「かわいらしい客」と「困った客」

お客さんの中には,いつも同じものを買っていかれる常連さんがいました。
素性は全く知りませんが,好きなビールの銘柄,おつまみ,愛読している雑誌については把握していました。
常連さんの顔や買っていくものはわかっているので,品物をこちらから選んでさっと渡すことができます。
常連さんはほとんどがおじさんでした。
常連さんは,自分が覚えられていて,他のお客さんよりもちょっぴり特別扱いされることに満足している様子でした。
なんか,かわいらしいですよね。

これに対し,困ったお客さんもいました。
お客さんが四方に詰め寄せている超混雑時を想像しながら見てください。

1位:ぴったりの代金を財布から出そうとまごついて,なかなかお金を払わない人。
2位:1万円を出してくる人。
3位:複数の商品を選び,合計金額を告げられた後に「やっぱり,これとこれはやめた」と言い出す人。
4位:混雑時に電車の発着時間などを聞いてくる人(客ではないが)
5位:「おれは急いでいるから他の人より先に会計をしてくれ」と言う人
6位:混雑しているなかで商品を万引きしようとする人(客ではないが)

混雑時にこうしたお客さんなどがいる場合は,かなり血圧が上昇します。
一瞬でも販売動作を鈍らせると,店舗は大パニックになってしまうからです。
どんなにまわりが困ろうと,自分の都合を優先しようという人が一定数います。
こうした人はなんともなりませんね。
友人にはなれません。

さまざまな社員とのやりとり

アルバイトは店舗に1人で入ることもありますが,半分以上の時間は社員の販売員と一緒に店舗に入って働きます。
当たり前ですが,いろいろと個性的な社員さんがいました。
優しくて会話を楽しもうとする人,一言もしゃべらず目も合わせない人。
意地悪な人,面白い人。
いろいろな性格の人がいましたが,どの人も仕事はきっちりと行い,混雑時も冷静に対応する頼もしい存在でした。
アルバイト側からすると,その日どの社員と組むかは結構重要なことでした。
組む人によって楽しく仕事ができるかどうかが大きく変化するからです。

逆に,社員も同様にどのアルバイトと一緒に組むかを気にしているようでした。
組む人によって,どのくらい戦力になるかが変化するからです。

まとめ

今は,手売りをするキヨスクはめっきり減ってしまいました。
販売状況を瞬時にシステムに反映させるためには,手売りは向かないからです。
ただし,時間当たりの売り上げは手売りの方が圧倒的に勝っていたと思います。

今後はキャッシュレス決済の方法もどんどん進化していくことにより,より利便性が高くコストパフォーマンスに優れた販売方法に変わっていくのでしょうね。

私はこのアルバイトを経験したことで,お店側の立場になって考えるくせがつきました。

お客様は別に神様ではありません。(古いか)

客は商品を購入する人であり,販売員は商品を販売する人というだけです。

お店に行ってよく店員に文句を言う人,混雑時にすぐに不満を述べる人は,一度自分が店員になったと想定してみるといいでしょう。
もちろん店員が客の立場を想定することも大切ですが。

懐かしい学生時代のアルバイトの思い出でした。

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