護身術を身につければ実際に襲われた際に身を守れるのか?

暴漢から襲われた際に,護身術を身につけていたら自分を守ることができるのでしょうか。

ずばり,それは無理だと思います。

トラブルに会ったときに本当に役立つ対処法

護身術は中途半端

護身術

護身術を身につけるセミナーがあったり,動画や書籍にて護身術が紹介されたりしています。
多くは,相手に手をつかまれたら〇〇する,後ろから抱きつかれたら〇〇するといった内容です。
いくつかの想定される状況への対応方法を身につけようということです。

格闘家の私からすると,正直言って護身術は中途半端な印象を受けます。

実際に暴漢から襲われたとします。
暴漢の動きは予測できません。
想定したパターン通りに動く可能性はものすごく低いのです。

運よく,護身術講座で練習した通りの動きを相手がしてきたとしましょう。
つかまれた腕をひねることに成功しました!
相手は痛がり腕をひきぬきます。
相手は態勢を立て直し2度目の攻撃に移ります。

「え?何回も攻撃してくるの?」

そうです。教わった護身術通りの動きができたとしても,相手はその後に反撃してくるのです。

相手が刃物を持っているとき

難易度が跳ね上がるのが,刃物をもっている相手への対処です。
刃物をもった相手への護身術講座を見かけたことがありますが絵にかいた餅です。
実際には,相手が刃物をもったときには素手では対処できません。

私が以前に所属していた格闘技のチームにて,刃物を持った相手を想定した訓練を行ったことがあります。
プロのキックボクサーや,柔道,レスリング,柔術などをマスターした猛者たちが,ゴムでできたナイフを持った素人と対戦してみました。

結果はナイフを持った素人の勝ちです。

何度も繰り返すと,素手の格闘家たちが勝つこともあります。
しかし,刺されるかどうか時の運に任せるようでは身を守る術には入りません。

このように護身術講座を数回受けた程度では,実際に暴漢に襲われたときに身を守ることはできません。むしろ,中途半端な動きをすることで,相手をより興奮させ,火に油を注ぎかねません。

護身術講座の多くは,主催者のお小遣い稼ぎになっているのかもしれません。

中にはどこぞの国の軍隊式の護身術を学べるところもあるようです。
それはもう,一般的な護身術とは言えませんよね。
軍隊式の格闘術です。
身を守るために軍隊式の格闘術をマスター・・・
これはもう一般人が身につける護身術とは言えません。

暴漢に襲われたらどうすればよいのか

では暴漢に実際に襲われたらどうすればよいのでしょうか。
相手がまともな人なら話し合うことでトラブルを解決することができます。
しかし,想定する相手は暴漢であり話は通じません。
暴漢とは,酔っぱらっていて理性を失っている人,半グレ,暴力団,不良,通り魔的な人,猥褻目的で襲ってきた人などです。

暴力的な展開を回避しよう

どんな方法でもよいので戦いになるのを避けるのが第一選択です。
謝罪をすればよいのなら,たとえ自分に非がなくともしてしまいましょう。
かっこうはつきませんが,けがをするよりはましです。
ただし,謝罪をすると余計に調子づいて絡んでくる人もいます。
そのときは,別の手を打たなければなりません。

逃げましょう

逃げられるなら逃げましょう。
子どものころの運動会を思い出し全力疾走してください。
なるべく人の多いところへ逃げ,助けを求めましょう。

声を出しましょう

大きな声を出して助けを求めましょう。
周囲の人や民家に十分に届き,緊急事態であるとわかる叫びをあげましょう。
ただことではない様子が伝われば,必ず誰かしら助けに来てくれます。
*周囲に誰もいない山の中などでは意味がありません。

警察を呼びましょう

警察に電話をかける余裕があるなら,警察を頼りましょう。
大ごとにするのが嫌で警察に電話をするのをためらっている場合ではありません。
ちょっとしたトラブルでも警察を呼んでしまいましょう。
私たちは税金を納めているのですから。

護身術は無意味なのか?

護身術は,トラブルの際にさほど役には立たないと理解してください。
しかし護身術を学ぶことは無意味とも言い切れません。
なぜなら護身術を身につけていると以下のような効果を発揮するからです。

身を守ろうという心構えを持てる。

この心構えを持っていると,普段から暴漢のターゲットなりにくいのです。

泥棒がセキュリティーの甘い家に侵入する理屈と同じです。
泥棒は侵入先を探しているとき,わざわざ防犯カメラがついている家は選びません。
暴漢も,なるべくめんどうなく襲える対象を探しているため,強そうな人や,反抗する心構えがありそうな人は選びません。

このように,護身術を身につけることでちょっとした自信や身を守る心構えが身につき,暴漢を寄せ付けない効果が期待できます。

まとめ

暴漢に絡まれたり,襲われたりしたときの対処方法について紹介してきました。

要点をまとめると「逃げるが勝ち」ということです。

彼女とデート中に暴漢に絡まれたとします。
かっこうつけて最終的に彼女まで危ない目にあわせるよりは,大声を出してまわりに助けを求めた方がよっぽど安全です。

万が一,そのせいで彼女があなたを「かっこ悪い!」とさげすむようなら,そんな彼女とはお別れした方がよいでしょう。

「逃げるが勝ち」よりも,さらに大切なことがあります。

「トラブルは未然に防止する」

格闘技でもそうですが,いったん技をかけられてしまった後は,エスケープするのが非常に大変です。しかし,相手が技をかけようとした時点で,エスケープするのは簡単です。

トラブルも同じで,いったん巻き込まれてしまった後は抜け出すのに大変な労力や危険がつきまといます。

トラブルになりそうな場所,人たち,時間帯,行動がありますよね。
そうしたものはなるべく避けてください。
そうしたことに関わらなければいけないときは,十分な警戒と用心をしましょう。

普通に生活していればめったにトラブルに会うことはありません。
日本は世界一治安のよい国です。

とはいえ,危険がないわけではありません。

トラブルに巻き込まれたら,自分一人で戦おうとするのではなく,まわりに助けを求めましょう。

万が一の場合についてどうすればよいのか,格闘家の視点から紹介しました。
参考にしてください。

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