子どもの意欲の正しい育て方

子どもが力を伸ばしながら成長するのに必要なのは「意欲」です。
どうすれば意欲を伸ばせるのでしょうか。

正しく意欲を引き出す方法

子どもの意欲の育て方

意欲のある子とない子の将来

子どもを意欲の面からみて3タイプに分けてみます。

①意欲的な子  ②ある条件下で意欲を見せる子  ③意欲のない子

①の子は,何事に対しても意欲的で積極的です。
未知のことへの興味関心が強く,自ら新しいことに挑戦し,失敗と成長を繰り返しながら力を伸ばしていきます。

②の子は,ある条件下で意欲を発揮します。

条件の例
・親や先生からの指示がだされた場合
・周りに期待をかけられた場合
・集団の中で競争を強いられた場合

③の子は,言葉どおり意欲のない子です。

子どもの意欲面から3つのタイプに分けてみましたが,基本的には大人になっても子どもの頃のタイプを引きずって生きていくことになります。

意欲のあるなしは,人生の経験全てに影響を及ぼします。
これは,誰しもが自らの経験によって実感できることではないでしょうか。
やる気に満ち何かに取り組んだときと,逃げたい・やりたくないと思いながら取り組んだときでは,途中のがんばり方も結果も両者の間には大きな差があるはずです。

この差が人生のおよそ80年近く積み重なるのです。
意欲の持ち方の差がどれくらい大きく人生に影響を与えるのかは計り知れません。

理想的なのは①の自主的に意欲を発揮する子です。
このタイプの子どもを育てるための大事なポイントについて解説します。
(②の条件有りで意欲のある子については今回の記事では触れません。)

正しく意欲を引き出す方法

まず自分でやらせてみる

これは最も大切なことです。

子どもは,大人や兄弟の上の子がやっていることを自分もやりたがります。
このとき見せる意欲は本人の中から自然に生まれたものです。
この元来持っている意欲を潰さず上手に伸ばすことが子育てにおける最重要課題です。

例えば,初めてブランコで遊ぼうとするとき
例えば,初めて調理器具を使おうとするとき

子どもが何かをしようとしたとき,まずは何も言わず「自分でやらせてみる」ことが大切です。
失敗したってかまいません。失敗するのは当然です。

しかし,多くの親はなかなか「自分でやらせてみる」ことができません。

ちょっと,やらせてみて,
「違う違う・・・・えーとね,これはこうやるんだよ」
このようにすぐに正しい方法を教えてしまいたくなります。

子どもにとって初めての体験をするという瞬間は、人生の中で二度とないかけがえのない瞬間です。

その瞬間,集中力は極限まで高まり,脳は通常時とは比べ物にならない程稼働しています。

もちろん,初めの体験はほとんどが失敗します。

しかし,失敗すれば,なぜ失敗したのか,どうすればうまくいくのかと,まだまだ脳の神経細胞は電気信号を激しく交信し活発に活動しています。

行動が成功しようがしまいが,この瞬間は最も成長が促進される貴重な時間です。
目に見えずとも,脳内では数えきれないほどの情報を得,整理し,神経細胞をバージョンアップさせているのです。

この貴重な瞬間に大人からの指導が入ってしまうと,脳の働きがストップしてしまい台無しです。
子どもが指導されることから得られることは単純に正しい技術だけです。

もちろん,いつまでも失敗を繰り返すことで子どもが行動をあきらめてしまったり,危険な目に合ったりしそうになるときがあります。
こうしたときはアドバイスや注意が必要になります。

そうでなくとも,あるタイミングでアドバイスを与えることは,子どもが技術を習得するという面においては有効であり必要なことです。
このように,決して大人からの指導を否定しているわけではありません。

ポイントは,子どもが何かに初めて挑戦する場合は,ある程度自分の力だけでやらせてみるのが大事であるということです。

関心をもって見つめ,よくほめる

子どもは,自分のしていることをよく見てもらいたいと思っています。
そのうえ何かを成し遂げたときはほめてもらいたくて仕方ありません。
見守ってもらい,ほめてもらうことで,安心してまわりの世界への興味関心を強め,行動する意欲を持つことができます。

もちろん,年齢が上がるにつれ,次第に親の手を離れていきます。
発達段階に合わせ,見守り方やほめ方も変えていかねばならないのですが,基本的には子どもの行動をよく把握し,ほめることが意欲付けにとって欠かせません。

まだ子どもが幼児の段階では,安全確保という目的も合わせ,子どもの行動を注視することが求められます。

ほめ方にはコツがあります。

<ほめ方のコツ>
・小さいことでもほめる
・うそはつかない
・結果だけでなく,過程もほめる
・失敗もほめる  「よく挑戦したね。」
・その子ならではのがんばりを特にほめる
・具体的にほめる  (おおざっぱにほめた方がよいときもある。)

ほめ方のコツを挙げればきりがないのですが,原則を示しました。
細かいことはさておき,とにかく子どもの様子をよく見ながら,積極的にほめることが大切です。
人と比較しながらほめたり,成功した結果だけをほめたりすると,人の目を気にしたり,人を見下したり,失敗を恐れたり,失敗すると意欲を失ってしまったりする人に育つので,やめておきましょう。

時には目を離す

あえて時には子どもを見ていないふりをすることも必要です。
先ほど,子どもの行動をよく見ることが大切だと述べました。
内容が矛盾します。どういうことでしょうか。

基本的には子どもの様子に関心を持ち,よく見ることが大切です。

しかし,たまには誰にも見られず,一人ぼっちで自分のやりたいように集中させることも意欲付けに効果を発揮します。

いくら子どもが自由に行動したがる生き物とはいえ,誰かに見られているときと,見られていないときでは意識や行動に変化が生じます。

一人ぼっちの時間を作る目的は2つあります。

①子ども自身の世界観を全開にしながら集中して好きな物事に取り組ませるため。
②人の目や評価がなくとも意欲を発揮するための訓練をさせるため。

結果がでるのをあせらない

親は常に子どもの成功を願っています。
願うが故に,結果がでるよう急かしてしまうときがあります。
歩き始めるタイミング・言葉を覚えるタイミング・逆上がりができるようになるタイミングなど・・

心の中では焦っても,それを子どもに気づかせてはいけません。
というか,焦る必要なんてないので,焦らないようにしましょう。

育児書には,「〇歳までに〇〇ができる」と平均的な子どもの発育例が書いてあります。
子どもの成長は,人それぞれです。
たいがいのことは,そのうちできるようになります。
焦ってがんばりを強要してしまうと逆に意欲がなくなっていきます。

能力的な問題で,いくら努力してもできないことだってあります。
たとえそうだとしても,何か問題ありますか?
人は自分なりに楽しく充実した人生を送ればよいと私は考えます。
何かができない=不幸せ,と考えるよりも,何かができないことをマイナスとは捉えず,自分の個性の一部として受け止める方がよっぽど前向きな人生を送れるのではないでしょうか。

羽のない私たちは,自力で空を飛べない!となげいても意味がありません。
羽がないなら,飛行機を発明するか,誰かが発明した飛行機に乗ればいいのです。

成功体験回数を多く積ませる

なるべく成功体験を多くさせましょう。
小さいことでもかまいません。

人は成功をすればするほど脳から快楽を伴うセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質が分泌されやすくなります。
成功後は脳がこれらの神経伝達物質の再分泌を求め,さらに成功を重ねようと意欲を強めます。
この様子は,まるで自分で自分の成功をほめ,意欲付けをしているような状態です。
逆に,失敗をして精神的に大きなショックを受ければ,神経伝達物質が分泌されづらくなり意欲が減退します。

格闘家も勝ち続けると,ぐんと強さを伸ばします。
逆に,1回でも負けてしまうと,それまでは勝てていた相手にも勝てなくなってしまうことがよくあります。

多くの成功体験をさせることで,幼いうちに意欲の高い脳を作り上げましょう。
また,失敗体験に慣れさせることで,失敗をしてもストレスを感じにくい脳を作りましょう。

まとめ

子どもの意欲を高めるための方法について紹介してきました。
おさらいをしておきます。

1.まずは自分でやらせる
2.関心をもって見つめ,よくほめる
3.時には目を離す
4.結果がでるのをあせらない
5.成功体験を多く積ませる

意欲的な人は自分で自分の道を切り開き,幸せをつかむことができるはずです。

以上のポイントを活かし,人に指示されなくとも自らの意思で意欲的に学んでいける人を育てたいものですね。

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