スポーツは勝たないといけないのか?
日本のスポーツの指導者にありがちなのが勝利至上主義者が多いことでしょう。
小学校,中学校,高校の部活動において,指導者は勝利を必要以上に求めているのではないでしょうか。
「必要以上に」と書きました。
では部活動における必要な勝利とは?必要ではない勝利とは?なんでしょう。
正しい勝利の求め方
部活動は誰のための活動なのか,本質にかえって考えると答えは自ずと出てきます。
部活動は,部活を行っている子どもたちのための活動です。
そうすると必要な勝利とは,「子どもが自らのやる気や努力によって手にするもの」を言います。
誤った勝利の求め方
では不必要な勝利とはなんでしょうか。
それは指導者のための勝利です。
不必要な勝利とは「指導者の名誉や出世意欲,エゴに起因するもの」です。
勝利至上主義の指導者は,勝利の先にぶらさがっている「自分の利益や満足」を見ています。
それは例えば以下のようなものでしょう。
勝利至上主義の指導者は子どもたちに向かってしつこいくらいにアピールします。
「おれの厳しい指導はおまえたちのためなんだ!」というセリフを。
勝利至上主義の指導者のもとでは,競技で結果を出すものが正しい人で,結果が出ない者はだめな人として扱われます。
結果の出ない者は軽く見られたり,いじめられたりすることが多くなります。
過去には「愛のムチ」というわけのわからない理屈で暴力を用いる指導者がわんさかと存在していました。 最近はそうした暴力教師・暴力指導者は問題になりやすく数は減ってきています。
ですが,いまだに一定数は存在しています。
こうした指導者は,教え子たちが「試合で負けた」とき,とんでもないセリフを吐いたりします。
「応援してきてくれた人たちに申し訳が立たないだろ!練習した時間は一体なんだったんだ。負けてしまっては台無しだ!今日のおまえらは全然ダメだった。やる気が感じられないんだよ。やめちまえ!」
正確に訳してみますね。
「俺のことを応援してくれる方々に俺がだめだと思われるだろうが。俺が教えてやった時間をどうしてくれるんだ!お前らのせいでおれの名誉が台無しだ!おれのメンツをつぶすおまえらは全然ダメだ!やる気がないならやめろ!もっと能力のあるやつを入れるから。」
⇒正気ですか?
「勉強なんてしなくてもいいから,練習しろ!」という指導者のあなた!
⇒学校は勉強をする場所です。
試合(負けてしまった。)でへとへとになっている子どもに向かって「やる気がないならヤメロ!」と声をかける指導者のあなた!
⇒辞めるべきなのはあなたの方ですよ。
スポーツは楽しんで行うべき
スポーツって勝つためだけに行うものですか?
私は全くそう思いません。
もちろん,勝ちを目指して練習したり,自身の記録を伸ばすためにがんばるのはよいことです。
しかし,「勝ちを目指す」と「勝たなければいけない」というのは全く意味が違います。
スポーツは仲間とのコミュニケーションを図りながら,楽しんで行うものではないですか?
楽しんで行う中で,自分なりの工夫をしたり,友達と協力し合ったりすることが,人生にとって大切な経験になるはずです。
まとめ
私は「とんでもない指導者」のせいで,子どもたちが多くの間違いを学んでしまうことを恐れます。
・努力とはひたすらつらいだけで厳しく汚い言葉を浴びせられ無理やりやらされるものだと思ってしまう子ども。
・負けてしまうことは悪いことだと教わってしまう子ども。
・何より,スポーツは誰かのためにするものだという勘違いをしてしまう子ども。
こうした「とんでも指導者」の犠牲者が増えていかないことを切に願うばかりです。
スポーツは生涯を通して楽しめ,人生を充実させてくれる素晴らしいものです。
自分のペースで楽しんで行うことの何がいけないのでしょうか?
これからスポーツをするあなたには,安全にけがなく,楽しみながら素晴らしいスポーツライフを送ることを願っています。