「引きこもり問題」を動物になぞらえて考えた。

いわゆる引きこもり問題について,ちょっと変わった視点から考えてみます。

ひきこもり対策

ここで論じる「ひきこもり」の定義

ここでの引きこもりとは、働ける能力や身体を有している成人だが働かずに両親に養われている人のことです。
よって以下のような場合の人は含みません。

①重い精神疾患を抱えている。
②身体に障害を抱えているため就業できない。

ちなみに,「ひきこもり」「ニート」という言葉は実際にその立場にある人にとってはキツく感じる場合もあるかと思います。
実際に,私もひきこもっていた時期やニートだった時期がありました。
そんなとき,ニュースでニートやひきこもりを特集しているのを見ると嫌な気持ちになりました。
この記事は「ひきこもり」や「ニート」の人たちを批判するものではありません。
なんとかこの問題を改善していけないのかと真剣に考えた結果について書いています。

動物を例にしてひきこもり問題の解決策を考えてみた

人間も立派な動物の仲間です。
その生態から多くのことを学ぶことができます。

野生の動物が巣立つまで

野生の動物は、草食系にしろ肉食系にしろ,自分で自分の食料を手に入れます。
親は食料の取り方を、手本を示しながら教えます。
手本を示したら、実際にやらせてみます。
そして,子どもは失敗しながらも徐々に食料獲得能力を高めていきます。

食料獲得能力を身に着けると,子どもは巣立っていきます。
自ら巣立っていく動物もいれば,半ば強引に親が子どもを巣立たせる動物もいます。
あたり前の話ですが,親が子どもを養い続けることはありません。

巣立った子どもたちの中で,食料獲得能力の低いものたちは淘汰されていきます。

動物園の動物は大人になっても・・

一方、動物園や家庭に飼われている動物たちは、いつまでも食料が与えられます。
よって,食料獲得能力は身に着けていません。
一度飼い慣らされた動物は,野生では生き残る力を失ってしまいます。
食料獲得能力を身に着けるのは大変ですが,能力を失うのは至極簡単です。

人間は社会で生活しています。
よって,野性動物とは生活する環境が大きく異なります。
しかし、私たちも動物の一員です。
人間社会は複雑化してはいますが、のうのうと生きていけるわけではなく,ある種の生存競争にさらされています。仕事をしてお金を得る能力を身につけなければ生きてはいけません。

ひきこもりの人が自立するためには

引きこもりの人は,飼い慣らされた動物のような状態です。
ここから収入獲得能力を身につけ(もしくは取り戻し)就業するのはかなり大変なことです。

以前飼い慣らされたフクロウを野生に戻す過程のドキュメンタリーを見ました。
最終的には獲物を捕れるようになるまで、スモールステップにより、少しずつ狩りの方法を身に付けていきました。しかし,獲物を捕る能力を得るまでは大変な苦労と時間を伴う作業でした。

引きこもりの方も,就業するための訓練をスモールステップで行っていくのが望ましいのではないでしょうか。

当たり前の話ですが,両親はいつまでも生きてはいられません。
自分で働かなければ,生活していけなくなってしまいます。

ひきこもりの子どもに対し,いきなりフルタイムで「働け!」とせっつく保護者がいます。
もちろんそれが功を奏すればよいのですが,なかなか難しいのではなないでしょうか。
最初はハードルを下げ,巣の中から初めの一歩を踏み出せるよう具体的に支援ができればいいと思います。

ちなみに「働け!」という声掛けを何度かしたのち,効果がないとあきらめてしまうケースがよくみられます。
あきらめて問題を先延ばしにしても,より解決から遠ざかるだけです。
精神論での励ましもいいのですが,具体的に踏み出せる「初めの一歩」の方法を一緒に考え,実行に移さなければなりません。

まとめ

氷河期世代の方の引きこもりが定期的に話題に挙げられます。
正社員として働く場所を用意しても,まだ働ける状態でない人にとっては意味がありません。
場所さえ用意すればすんなり就業を続けられる人も確かにいるでしょう。
しかし,ひきこもりの解決を本気で考えるなら,「普通に就職活動・転職活動をする人」とは別に,ていねいな対策を考えなければなりません。
形だけの救済制度ではなく,当事者の思いを汲んだ救済策が求められています。

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