【必見】議論で勝つためのテクニック≪攻撃編≫

前回は議論をする前に知るべき基本的なことについて解説してきました。
今回は,議論に勝つための具体的なテクニックについて紹介します。

議論で使えるテクニック9選

多少ダーティーなテクニックもあります。
人を貶めるような目的では使用せず,正しいことを主張する際に使うようにしましょう。
悪用厳禁です!

議論のテクニック攻撃編

絶対正義の旗を振る

<このテクニックの使用例>
「それは子どもたちの未来を潰してしまうことになるのではないですか?」

「あなたの主張は〇〇な人たちの基本的な人権を侵害しかねません。」

キーワード:子ども・人権・命・差別・憲法・法律

自分の主張にこのキーワードをなんとか結びつけると,たいした根拠もなく主張を押し通すことができます。
*もちろん本当にこのキーワードが主張の本筋に関わる場合は,テクニックということではなく,キーワードを大切にして主張を述べましょう。

<この技を逆に使われたときの防御例>
「子どものためと言われると反論しづらくなってしまいます。しかし,思考を停止せずによく考えると,子どもについても考慮するのはもちろんですが,他のことについてもよく考え総合的に判断しなければなりません。それに,私の主張を実現すると,果たして本当に子どもの未来を潰すことになるのでしょうか?」

キーワードに過剰に反応せず,冷静に反論しましょう。
たいした理解や信念なく,このキーワードを気軽に使う人がいます。その場合,相手にその意味を問いただしながら,反論の機会をうかがいましょう。

極端論法

相手の主張
「残虐な場面のあるテレビドラマは,子どもの成長に悪影響を与えるから禁止すべきである。」

<このテクニックの使用例>
「残虐な場面を見て,残虐な子どもが育つなら,戦争映画や時代劇はもってのほか,プリキュアやアンパンマンだって暴力行為が満載である。それを禁止するなら,テレビドラマだけでなく,本やコミック,映画,ありとあらゆる創作物が禁止対象となる。」

相手の主張をおおげさにとらえ,極端な事例を示すことで反論する攻撃法です。

<この技を逆に使われたときの防御例>
「私が述べるドラマでの残虐行為とは,あくまで人を殺すシーンのことです。戦争映画はそれに含まれますが,時代劇は,人を斬るシーンは直接見せないので含まれません。また,アニメやコミック,本についてはテレビの映像とは,表現方法が大きく異なり,テレビドラマと同じように考えるべきではありません。話を無理に広げず,私が主張したテレビドラマの残虐な行為についての意見を聞かせてください。」

このように広げられた土俵を,丁寧な主張で元の大きさに戻しましょう。

「なぜ」「なに」質問の嵐

相手の主張
「残虐な場面のあるテレビドラマは,子どもの成長に悪影響を与えるから禁止すべきである。」

<このテクニックの使用例>「なぜ〇〇?」の質問パターン
私「なぜ残虐な場面が子どもの成長に悪影響を与えるのですか?」
相手「残虐な行為を見た子どもは自分でも残虐な行為をするようになります。」
私「なぜ残虐な行為を見ると,自分でも残虐な行為をするようになるのですか?」
相手「そのような行為があると知ってしまうとともに,興味を抱いてしまうからです。」
私「なぜ,残虐な行為を知り,興味を抱くと残虐な行為をするようになるのですか?」
以下永遠に続く。
<このテクニックの使用例>「〇〇とはどういう意味?」の質問パターン
私「残虐というのはどういう意味ですか?」
相手「暴力的な行為のことです。」
私「暴力的な行為とは具体的にはどのような行為ですか?」
私「暴力的な行為とそうでない行為の境目は?」
私「暴力的な行為が与える悪影響とは具体的にはどのようなものですか?」
以下永遠に続く。

A「なぜ〇〇?」,B「〇〇とはどういう意味?」どちらの質問も,いくらでも質問し続けることができます。相手が真面目に答えようとし続ければ,必ずどこかの時点でつまずくことになります。

<この技を逆に使われたときの防御例>
「それは聞かなくても常識的に考えてわかりますよね。」
「話が本筋からずれていっています。今の質問にはどのような意図があるのですか?」
「(相手の質問に対し)私は〇〇と考えますが,あなたはどう考えるのですか?」

本当に知りたくて相手は質問しているのではないと感じたら,例のように質問を封じましょう。
何を言っても相手が「なぜなに攻撃」を止めない場合は,悪意しか感じられないため議論をあきらめましょう。
時間の無駄なので,別の方法で主張を通す工夫をしましょう。

立証責任を押し付ける

私の主張
「マイナンバーカードは強制的に国民全員に配布すべきである。」

相手の反論
「国民に番号を付けて管理することに反対する人もいるのだし,現状通り,希望する人だけに付与すればいいよ。」

<このテクニックの使用例>
私「国民に番号を付けることの何がいけないの?」
私「誰がどのような理由で反対しているの?」
私「希望する人だけに付与した場合,マイナンバーカードのシステムが国にとってたいしてメリットがなくなってしまうよね。そこはどう考えるの?」

当然ですが,議論では「意見を提案した側」「権利を主張する側」に主張する内容の正当性を立証する責任があります。
立証するためには相手を納得させる根拠や正しい理屈が必要となります。
大変な作業です。
そこで,相手にその立証責任を押し付けてしまうのがこの方法です。
本来は説得しなければならない側が,質問する側にまわることで,逆に相手が説明をしなければならない状態を作り出すのです。
上の例以外にも,あなたの主張が否定されたときは,次のように返し,立証責任を押しつけてみましょう。
「では,どうすればよいでしょうか?」
「あなただったらその点をどう改善しますか?」

弱点は自ら明かす

100%完全な主張などありません。
程度の差はあれ,どこかに弱点があり相手はその弱点を突いてくるはずです。
自分から弱点を明かしてしまいましょう。
「正当性を主張」→「弱点」→「弱点を考慮しても正当であることを主張」という流れで話しましょう。
自分から弱点を明かすメリットは2点あります。

1.相手から弱点を指摘されるよりダメージが少ない。
2.弱点をさらすことで,信頼感が高まる。

一点突破法

相手の主張の仕方が上手く,反論で崩すのが難しい場合があります。
その場合は,反論しやすい部分や,間違っている部分など,どこか一点相手の弱点を見つけ,そこを崩すことによって議論を優位に進めましょう。

<この技を逆に使われたときの防御例>
・突破された部分がたいしたことのない内容なら,その部分の負けはあっさり認め,本筋の話に戻しましょう。
「たしかにそこはあなたの言うとおりだね。それはさておき,話を本筋に戻そう。」

的外れな指摘 ~難癖をつける~

議論のテーマとは全く関係のない話を持ち出して相手にダメージを与える方法です。

①態度の悪さを指摘する

「なんか高圧的で怖いよ。もう話し合う気がなくなったよ。」
「君はマナーがなっていないね。それでは君の主張も台無しだよ。」

②話し方に文句をつける

「その言い方はないんじゃないの? 言葉を選んで言い直してよ。」
「そんなに強い口調で言われたら,何も言い返せないよ。それは脅しだよ。」

③以前の話を蒸し返す

「それは前に言っていたことと違うよね。」
「前に自分だって,〇〇だったよね。〇〇したことあるよね。」
<この技を逆に使われたときの防御例>
相手の罠にかからず,冷静に話を本筋に戻しましょう。
「今の指摘は議論している内容とは関係ないよね。私の主張への反論はないの?」

常識を味方につける

主張や反論をする際,自分の意見が多数派の意見である印象を与える方法です。

<このテクニックの使用例>
「常識的に考えて,誰だって〇〇は嫌ですよね。」
「普通の人だったらそんなことはしないよね。」
<この技を逆に使われたときの防御例>
「常識って,誰が決めたのかな?」
「たとえ多数の人がそうだとしても,それが正しいとは言えないよね。」
「常識が間違っていることもあるから,自分たちで考えてみよう。」

部分的に負ける~肉を切らせて骨を断つ

議論が自分に有利に進んでいるときに使うと効果を発揮します。
本論(幹)以外の部分(枝)はわざと負ける方法です。
この方法を使うと,相手が負けを認めやすくなります。
また,相手からの反感を買いづらく,関係性を悪化させない働きがあります。

まとめ

議論で使える具体的なテクニックについて紹介しました。
どれも実際の議論の中で効果を発揮します。
紹介したテクニックの中で私がよく使うのは「極端論法」「立証責任の押し付け」「質問の嵐」です。すばらしい効果を発揮します。
どのテクニックも過剰に使うと相手に嫌がられてしまいますので注意してください。
できれば勝ち負けだけにこだわらずに,建設的な議論を行うことで双方の状況が好転することが一番よいですね。

次回は議論で使える具体的な防御テクニックについて紹介します。

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