【必見】議論で勝つためのテクニック≪防御編≫

今回は議論における防御のテクニックについて紹介します。
防御と言うからには,何らかの攻撃に対応するテクニックです。
ここで紹介するのは,「詭弁」に対する防御方法です。
詭弁とは,間違った理屈だけど,一見すると正しいと思われがちな主張の仕方のことを言います。
紀元前から,弁論術が研究される中で,多くの詭弁の技術が生まれてきました。
詭弁の技法は昔から存在するのに,現在でも大いに活躍しています。

マジックを見ても,上手なマジシャンの仕掛けは見抜けませんよね。
詭弁が通用してしまう様子はこのマジックに近いような気がします。
詭弁もマジックも,人間の脳の盲点,勘違いのしやすさを利用したテクニックです。
代表的な詭弁に対する防御方法について紹介します。

間違った理屈にだまされないための方法7選

議論のテクニック防御編

根拠の間違いを見抜け

例)間違った根拠を示された場合
相手の主張
「A塾に入った人たちはみんな受験に合格した。だから合格したのはA塾に入ったおかげだ。」
反論による防御の例
「確かにA塾に入った人たちは皆受験に合格した。一見するとA塾に入ることと,合格との間には因果関係があるように思える。でも,合格と,A塾に入ったことに本当に因果関係があるかどうかは詳しく調べないとわからないよ。例えば,A塾が特別優秀な生徒のみを入塾させていた可能性だってある。」
防御方法の解説
「AならばBである。が成り立つなら ⇒ 逆の BならばAであるも成立する。」とはなりません。
この主張の仕方は古来より弁論術として利用される詭弁の一種であり,難しい言葉を使うと「後件肯定の虚偽」というテクニックです。
この方法以外にも,結論と根拠が論理的に正しく結びつかない詭弁による主張の仕方がいくつもあります。
相手の主張の要となる根拠が本当に正しい根拠として成り立つのかどうかを落ち着いて判断しましょう。

感情面への訴えは切り分けて反論する

例)かわいそうだと訴えられた場合
相手の主張
「そんなことをしたら,〇〇さんがかわいそうじゃないか」
反論による防御の例
「〇〇さんを傷つけようとしているわけではない。よりよい状況を生みだすためにAやBを考慮に入れ,考えた意見だよ。それに今この決断をしないと,〇〇さんはもっとかわいそうなことになるよ。」
防御方法の解説
相手が感情面に訴えてきたら,ていねいに感情面を切り離し,事実に基づく論理的な主張で反論しましょう。
相手が感情面を重視するタイプで理屈が通じにくい場合は,例のように逆にこちらも感情面へ上手に訴え返すのも有効な手段です。

論点ずらしに揺さぶられない

例)カンニングした生徒から言い訳を連続でされた場合
相手の主張
「私が隣の人の答えを見てしまったのは,隣の人の解答用紙が私から見やすい位置に置かれていたからです。そもそも試験中に試験監督がいなければカンニングするなという方が無理じゃないでしょうか。海外では,テストのときに人の答えを見てもよいという学校があり,むしろそうした方が学習の定着度が高いらしいですよ。」
反論による防御の例
「人の解答用紙が見やすくても,試験監督がいなくても,カンニングをしない人はしない。他の学校での例は関係なく,この試験ではカンニングは許されない行為である。どんな条件を述べたとしても,君がカンニングという不正な行為をしたという事実に変わりはない。」
防御方法の解説
論点をずらす人は,議論において合理的な答えを導き出そうという本来の目的を見失い,議論に勝つことしか念頭にない人です。
精神的に幼い人に論点をずらす傾向がみられます。
論点をずらされても動じることなく本題へと話を戻しましょう。
いちいち,すり替えられた論点について,ていねいに反論をする必要はありません。
「論点がずれているので,本題に戻りましょう」と言うだけで十分です。

ちなみに,「お前だってそうだろう」「他の人だってやっているのに,何でおれだけ・・」というような主張をする人がいます。
これも論点ずらしの一種です。
「今はあなたの話をしている。他の人は関係ない」と論点を戻しましょう。

価値観の押し付けへの反撃

例)相手が自身のもつ価値観を前面に押し出して主張してきた場合
相手の主張
「男女は平等であるべきだから,今回利用する道具は,男性と女性と全く同じものを使うべきだよ。」
反論による防御の例
「男性と女性の違いを理解し,双方に適した道具を利用する方が不公平なく本当の平等が成立すると思うよ。例えば,男女に同じ量の食べ物を食べさせるのは,無理なことだよね。胃の大きさや身体の大きさが違うんだから。」
防御方法の解説
人はそれぞれの価値観を持っています。
価値観は人それぞれに異なるものですから,主張の根拠としては直接成り立つものではありません。
根拠として使う前に,その価値観の正当性を立証しなければ,根拠にならないからです。
(この例にある男女平等は一般的に認められる価値観ですが,定義があいまいなところがあるため取り上げてみました。)
「男女の平等って,どういうこと?」と相手が信じる価値観の定義をはっきりさせたうえで,その正当性についてきちんと立証させるとよいでしょう。
その後相手が説明をする中のどこかで弱点を見つけることができれば反論することができます。
例では,相手に合わせ「平等」という価値観を別の視点から考えて反論する方法を示しました。

この他の防御の方法として,全く別の価値観をぶつけて反論する方法もあります。
相手の価値観に押し切られず,柔軟な発想で反論しましょう。

早まった一般化を見逃さない

例① 少ないデータを一般化された場合
相手の主張
「この薬を飲んだ5人,全て〇〇感染症から回復した。この薬はこの感染症に対する特効薬だよ。」
反論による防御の例
「何もしなくても,日が経てばたいがいの患者が回復している。この薬の効果かどうかはわからない。しかもたったの5人だけのテータでは,真偽を確かめるのに不十分だよ。」
例② 過去の男性関係から男性全体の特徴を決めつけられた場合
相手の主張
「最初の彼氏も,次の彼氏も私に暴力をふるった。男なんて優しくするとみんなつけあがり暴力をふるう生き物だ。」
反論による防御の例
「あなたが付き合ってきた男が暴力的だっただけだよ。私の知り合いで暴力をふるう男なんか一人もいない。たった二人の男性との関係から,男全体の性質を決めつけるのは乱暴だし,失礼だよ。」
防御方法の解説
いくつかの事例から規則性や共通点を見つけだし,推論を導き出す方法を帰納法といいます。
帰納法による推論が成立するためには,多くのデータが必要となります。
例に出したように,数個の事例だけでは説得力に欠けるのです。

二者択一の誘導尋問にひっかかってはいけない

例)もっともらしい二つの選択肢を選ぶようにせまられた場合
相手の主張
「正義ぶってやつらの味方をして痛い目に合うのと,大人の判断をして我々の仲間になり大金を稼ぐのとどっちにするんだい?」
反論による防御の例
「いや,誰の味方をするつもりもないし,君たちの仲間になるつもりもない。警察に通報して君たちを逮捕してもらうよ。」
防御方法の解説
相手は「AかBどちらを取る?」と,選択肢は二つしかないような印象を与え答えを誘導しようとしています。
どっちかを選べ!と問われたときは,本当に二つしか選択肢がないのかを冷静に考えましょう。
たいがいの場合,第3,第4の選択肢が浮かぶはずです。

「未知のもの」が存在しないことは証明しなくてよい

例)まだ見つかっていない宇宙人の存在をだされた場合
相手の主張
「宇宙人が攻めてくるかもしれない。その防衛費に100兆円計上しよう。
自分「いやいや,そんなことないでしょう。無駄遣いだよ。
相手の主張
「宇宙人が本当に攻撃してこないってことを証明できるの?」
反論による防御の例
「現段階では宇宙人の存在は確認されていない。未知のものが存在しないことはだれにも証明することはできない。宇宙人が攻めてくると言い出した君が,宇宙人の存在を立証しなければならないよ。」
防御方法の解説
未知のものが存在しないことを証明するのは不可能です。
存在しないことを証明できない=存在する,とはなりません。
もしこの式が成り立つなら,ありとあらゆることをでっちあげることができてしまいます。
「おれが神でないことを証明しろ!」「証明できないならおれは神だ!」
なんていうとんでもないことが成立してしまいます。
もし,未知のものが存在すると主張するなら,主張する側が存在することを立証しなければなりません。

まとめ

議論をする際,相手が仕掛けてきた詭弁に対する防御方法について紹介しました。

詭弁を多用するのは,いわゆる「悪い人々」が大半です。
(子どもは単純に間違えてよく幼稚な詭弁を使いますが。)

実直で思いやりのある人なら正当な理屈を用いて議論を行うはずです。
悪い人々は,議論に勝つことで相手をだましたり物を売りつけたり有利な地位についたりしようとします。

そんな悪い人々に騙されないためにも,議論で勝つためのテクニックや詭弁への防御方法を知ることは大切です。
もちろん仕事や友達との普通の議論でも議論のテクニックは大いに活躍します。

自分の思いを大切にし,周りの人と意見を交わしながら充実した人生を送りたいものですね。

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