人生を楽しく心豊かに過ごすためにはがんばりすぎないことが大切です

がんばりすぎないことのススメ

がんばらない

努力を求め続けられることの窮屈さ

世の中,右を見ても左を見ても,「がんばれ,がんばれ」の大合唱。
努力が手放しで礼賛され,怠け者は白い目で見られてしまいます。

勉強でもスポーツでも,家事でも,趣味でも,仕事でも,なんと「遊び」にすら,「がんばれ」が横行しています。

なんと窮屈な社会でしょうか。

がんばるのは確かに良いことです。
しかし,イコール,がんばらないことを悪いこととみなすのは危険な発想です。

Goodの反対語はBadですが,現実はそうならない場合が多くあります。
例えば,「献血をする」=良いことですが,「献血をしない」=悪いこととはなりません。

人のがんばりは評価されてもよいのですが,がんばりを強制したり,がんばらないことを責めるのはお門違いな行為です。

やみくもにがんばらずに効率よくがんばる

がんばり続けるのは効率の悪いことです。
それを示す一つの例を挙げてみます。

東京大学の教授とベネッセが協力し,次のような実験が行われました。
英単語を中学生に覚えさせる際に,がんばり方を2種類設ける。
①60分間続けてがんばる
②15分間がんばる+休憩+15分間がんばる+休憩+15分間がんばる
結果的には②の休憩をはさんで45分間がんばった方が,約120%多く英単語を覚えることができました。

このように,やみくもにがんばり続けるよりも,合間に「がんばらない」タイムを設けた方が効率よくがんばることができるのです。

「休憩をはさむ」以外にもがんばりの質を挙げることも大切です。

例えば,野球のバッティング練習。
下手な素振りを1万回行うよりも,自分のフォームをビデオにとってチェックするなど,工夫したりコツを大切にしたりして練習する方がはるかに効率よく上達することができます。
「努力の仕方の工夫」や「コツをつかむこと」の重要性は,スポーツだけでなく何事にも通じることです。

これを読んだ「がんばる教信者」の方は,「それなら工夫してがんばり続ける!」と気合を入れなおすかもしれません。
まあまあ,ちょっと落ち着いてください。

がんばらない方がよいこと

世の中にはがんばらない方がよいこともあります。

「そんなわけはないだろう」という声が聞こえてきます。

以下に例を挙げてみます。

子育て
がんばりすぎない方が余裕をもって子どもと向き合うことができます。
がんばりすぎて張り詰めた空気を醸し出すと,子どもの心の安定によくありません。
仕事
がんばりすぎると,まわりが見えなくなることがあります。
余裕を残しておかないと,不測の事態に対応する力が生まれません。
がんばりすぎると,まわりの人へのストレスを生んでいるかもしれません。
病気の治療
がんばりすぎると,精神的に追い込まれてしまいます。
治療が難しい病気にかかってしまったら,がんばらずに,治療の成果に一喜一憂せず,じっくり付き合っていく気持ちが大切です。
人間関係
がんばりすぎても何もよいことはありません。
例えば,苦手な人や嫌な人に何とか上手に接しようと思っても,たいがいは上手くいきません。がんばりすぎず,うまく付き合わなくてもよいというあきらめの気持ちを持つことも大切です。
恋愛関係
がんばりすぎると空回ってしまうことが多々あります。
うーーん,でも恋愛は,がんばってもいいかな。

人生のほとんどのことは,がんばりすぎない方が上手くいくのではないでしょうか。

人はがんばらなくてもがんばっている

日本語が破綻していますね。
でも言いたいことは,こうなんです。
人は,生きているだけでけっこう頑張っています。

人の身体を構成する約60兆個の細胞はそれぞれの役割をもって生きています。
その細胞が集まって組織となり,人間の生命活動を維持しています。
白血球は常に体の中を巡回し,外界から侵入した細菌やウィルスを見張っています。
身体の仕組み,そして生命の仕組みを探れば探るほど,いかに「生きていること」が奇跡的なことなのかを思い知らされます。

人は生きるためにバランスよく栄養を摂取しなければなりません。
恒温動物である哺乳類は,栄養を常に吸収し続けなければ死んでしまいます。
こんなに食べてばっかりの生き物は哺乳類,その中でも人間だけではないでしょうか。
食べるものを確保するのも大変ですが,食べて,消化するのも大変なエネルギーを消費します。

ちょっと変わった観点を用いて説明しましたが,人はがんばらなくてもがんばっているんです。

がんばる意識から,楽しむ意識への転換

「がんばらないといけない」と,つい自分を追い詰めてしまうあなたへ。

意識を「がんばる」から「楽しむ」へと変えてみると,ずいぶん生きやすくなります。

もちろん「がんばっている」状態が楽しい場合もありますよね。
それはそれでよいのです。
ですが,「がんばっている」状態が辛くなるときがあります。
辛くなったら,いったん止まって休むか,思い切って取り組んでいることをやめてしまいましょう。

勉強やスポーツ,仕事において,何かに取り組んでいるとします。
10がんばったら10%進み,50がんばったら50%,100がんばったら100%完了!とはなりません。
80%くらいまでは,がんばりに応じて順調に進捗していくでしょう。
しかし,そこから先は1%進捗させるにつれ,必要な労力の量がうなぎのぼりに上昇します。
100%,要するに極める直前にはすさまじい量の努力が必要となります。
「極める」よりも,その手前の「楽しむ」というところに的を定めるとずいぶん楽に取り組むことができます。

がんばらなくても許してあげて

がんばれない人がいます。
例えば,うつ病の人です。
うつ病の原因は様々あるでしょうが,がんばりすぎて,疲れ果ててしまったためにうつ病になる人が多くいます。
うつ病ではなくとも,その一歩手前のような人々が日本の社会にはいたるところに溢れています

このような状況は,「がんばらないといけない」という日本社会に根付いている思想から生じています。

人は「がんばれ」とプレッシャーをかけなくても,お互いを認め合えのびのびと力を発揮できる環境があれば,自然と努力する意欲がわく生き物です。

無理な「がんばり」の強制はやめませんか。

「ゆとり」と「寛容の精神」が求められています。

個人的な感覚ですが,社会全体で現在の150%くらい「ゆとり」と「寛容の精神」がアップすると,ずいぶん幸せな国に変わるのではないかと思います。

まとめ

私のまわりの大切な人の中にうつ病になった人がいます。
いつもまわりの人のことを気にかけ,誰にでも優しく接する人です。

がんばりすぎてしまい,心が疲れ果ててうつ病になってしまいました。
まわりにうつ病になった人がいるならわかると思いますが,うつ病になると本人もまわりの人も非常につらい状況になります。

「そんなにがんばらなくてもよいですよ。」

健康で楽しく,仲良く,友達や家族や愛する人と暮らしていければそれで満点です。

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