美味しいけど塩分を取りすぎると大変なことになります。

近所に本格的な中華料理店があります。
どの料理もとても美味しいのですが,一つ欠点を挙げるなら味付けがしょっぱいのです。
食べている最中は夢中になりながらがっついているのですが,店を出てしばらくすると手の指がむくんでいることに気づきます。
ちょっとやそっとではなく,はっきりと指が太くなっているのに気づくのです。
このむくみって身体に何らかの悪影響を及ぼしているのでは?

塩の取りすぎは体に悪いというのはよく聞く話なのでなんとなくはわかります。
しかし,なんで悪いのかという仕組みについてはいまいちわかっていません。
そこでなぜ塩分の取りすぎが体に悪いのかを調べてみました。

塩分の取りすぎ

塩分の取りすぎは死の危険度を増す!

結論から言うと,塩分の取りすぎは血圧を上昇させ,血圧の上昇は心臓関係の重大な病気を引き起こしたり,脳卒中を引き起こしたりする可能性を高めるんです。

「そんなこと言ったって,たいしたことのないレベルでしょ?」

いやいや,マジでやばいです。

日本人の死因の第1位は「がん」というのは知っていますよね。
2位は「心臓関係」3位は「脳血管関係」です。
この2位と3位の死因は高血圧と深く関わっています。
そして,高血圧は塩分の取りすぎが関係します。

塩分の取りすぎが「やばい」のはわかったとして,どういう仕組みで死の危険を招いてしまうのでしょうか。
その流れはこうです。

1.塩分を取りすぎると血圧が高くなる。
2.血圧が高くなると血管が硬くなる。
3.血管が硬くなると心臓や脳の血管が詰まったり出血したりする可能性が上がる。

一つ一つ明らかにしていきます。

塩分の取りすぎは血圧の上昇を招く

そもそも血圧ってなんなのでしょうか。
血圧についてよく知ってから,塩分が血圧にどのように関係するのかを明らかにしたいと思います。

血圧とは

血圧とは,心臓から送り出された血の流れが,血管を押す圧力を表している数値のことです。
血圧が高いということは,血管が血の流れにぐいぐい押されている状態。
血圧が低いということは,血管が血にあまり押されていない状態。

血圧の値はを左右する5大要素

①心臓が一回の拍動で送り出す血液量
どりゃーっと力強い拍動でたくさんの血液が送り出されれば出されるほど血圧が上がります。

②体の隅々にある細い血管への血液の流れやすさ
末端の毛細血管に血が流れにくいとその手前の太い血管内により圧力がかかります。
ホースの先端をしばって流れなくすれば,先端より後ろの部分に圧力がかかりますよね。それと同じ理屈です。また,このような状態では,毛細血管にまで血をしっかり送ろうと心臓ががんばってより強い拍動を起こすため,そういう点でも血圧は高くなります。

③体の中を流れる血液の総量
体の中の全体の血の量が減ると血圧は下がります。
全体量が多いと,血圧が上がります。
血管をホースに例えてみるとすぐに理解できますね。

④血液のさらさら度
血液は「けっしょう」と呼ばれる液体成分と,「赤血球・白血球・血小板」などの個体成分からなっています。その他にも主に食事から取り入れた「糖質」「脂質」が含まれています。
個体成分が多かったり,糖質・脂質が多かったりする状態は血液がどろどろして流れにくい状態です。血液が流れにくい状態では2で書いたのと同じ理屈で血圧が上昇します。

⑤血管の弾力性
これもホースで考えるとよくわかります。
古くてかっちかちのホースは,ちょっと曲げると水が流れなくなります。
買ったばかりのしなやかなホースは長くのばそうが,ちょっと曲がろうが,ホースが少し膨らんだり,柔軟に形を変えたりするため水がきちんと流れてくれます。
血流がつまってしまう要因があると血圧は上昇します。

血圧についてよく理解できたと思いますので話を戻します。

塩分の取りすぎはなぜ血圧の上昇をまねくのでしょうか。
血液中の塩分の量は常に一定に保たれています。
そのため,塩分を大量に摂取すると,濃度を保とうとして血液中に大量の水分を取り入れます。
塩分が1g増えると,なんと体は1リットルの水を取り入れます。
このため塩分を取れば取るほど血液の総量が増え,血圧が上昇するのです。

血圧の上昇は血管を硬くする!

血圧が高い状態は血管が血流により圧迫されている状態です。
このような状態では血流により血管の内側の細胞に傷がつきやすくなります。
傷がついた部分には脂肪がたまっていきます。
それが徐々に厚みを増すことにより,血管が硬くなったり詰まったりします。

血管が硬くなると血管が詰まったり出血したりしやすくなる

脂肪などのごみがたまることにより血管は詰まったり,硬くなったりします。
この状態を「動脈硬化」と言います。
動脈硬化が進行すると血液がきちんと流れなくなったり血管が破れて出血したりすることがあります。この現象が心臓や脳で発生すると死に直結します。

まとめ

塩分を取りすぎると必ず脳卒中や心筋梗塞を引き起こすわけではありません。
しかし,その可能性を確実に高めることははっきりしています。
誤解されがちですが,動脈硬化は高齢者になってから発生するわけではありません。
実は血管は0歳から少しずつ硬くなり,10歳くらいから急激に硬化のスピードを速めます。
30歳くらいになると危険な動脈硬化状態が完成してしまう人も現れだすのです。
塩分を控えたからと言って,単純に血圧が正常値に下がる人はそう多くありません。
血圧を下げるためには,あの手この手を使いながらじっくりと向き合っていかなければなりません。
健康を保つために血圧の高い人はまずは「塩分」を控えてみましょう。

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